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2007.06.03

ハードボイルド/ハードラック(吉本ばなな)を読了


ハードボイルド/ハードラック

ハードボイルド/ハードラック

著者:吉本 ばなな
出版社:ロッキングオン
出版日:1999-04
価格:¥ 1,050
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「あなたは、とても運が強いと思う。だから、変わった人生になると思う。いろいろなことがあると思う。でも、自分を責めちゃだめだよ。ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」
「なんで? 私、いばってる?」
「ううん。」
くすくすと千鶴は笑った。鈴みたいに、その声が小さく耳に響いた。(ハードラック)

私たちの目にはまだ、あの管や、呼吸器の音や、窓から射し込む痛い光が焼きついている。私は言った。
「晴れた午後に、毎日パスタを食べて、いろいろな景色を見にでかけよう。足が痛くなるまで歩いて、ワインを飲んで、同じ部屋で寝よう。夏の、暑くて仕方がない光の中で、今とは違う気持ちを、別の窓から見てみよう。それをするまでは、あなたを忘れることはない。変な時に知り合ったまま、終わらせたくはない。でも今は、なにも考えられない。」(ハードラック)

吉本ばななは、今まで読んでなかった。食わず嫌いというわけでもなく、ただなんとなくそのころの自分とは、立っている場所が被らなかっただけのことなんだろうと思う。今回、表装と挿絵が奈良美智さんだったので、手に取った。

ふんわりとしていて、軽く読めた。ちょっと物足りなかった感もあるけれど、それも作品の味だろうってことで、他の著作も当たってみるつもり。理由はよくわからないのだけれど、ぼくは女流作家っていうものがものすごく苦手で、それでもさらりと読めてしまったのは、よく言葉が選ばれているからだと思う。そう、ストーリー的にはあまり語るところはないのだけれど、言葉の選び方、特に繋ぎ方が秀逸であるように感じられた。

読んでいると、表装もあいまって、自分が品の良いギャラリーか喫茶店にいるかのような錯覚に陥ることがあった。内壁には白ペンキが塗りたくってある、こじんまりとした、穏やかで良心的で、休日の朝にはトーストとコーヒーを出し、その朝食目当てにやってくるお客さんがいるようなギャラリーに。たとえば、かもめ食堂のような。

帽子を忘れた日

飲み屋か、電車か、川沿いか、あるいは他のどこかに帽子を忘れた記念日。